ロードバランサのセッション維持機能とは?安定した通信を支える仕組みを解説
ロードバランサのセッション維持機能とは、同一ユーザーからの複数回のリクエストを、常に同じバックエンドサーバへ振り分ける仕組みです。「セッションアフィニティ」や「スティッキーセッション」とも呼ばれ、Webアプリケーションの安定動作に欠かせない機能として広く利用されています。
セッション維持機能が必要とされる理由
多くのWebシステムでは、ログイン情報やカート情報などをサーバ側のメモリに保持します。ロードバランサがリクエストを毎回別のサーバへ振り分けると、セッション情報が引き継がれずエラーが発生する可能性があります。セッション維持機能は、こうした問題を防ぐために用いられます。
セッション維持の代表的な方式
ロードバランサで使われる主なセッション維持方式は以下の通りです。
- Cookie方式:クライアントに識別用Cookieを付与し、同一サーバへ振り分ける
- 送信元IPアドレス方式:クライアントのIPアドレスを基に振り分け先を固定
- URL書き換え方式:URL内にセッション情報を埋め込む
特にCookie方式は、柔軟性と汎用性の高さから最も一般的に利用されています。
メリットとデメリット
セッション維持機能には、利点と注意点の両方があります。
メリット
- ログイン状態や画面遷移が安定する
- サーバ側のセッション管理が容易
デメリット
- 負荷分散の効果が下がる場合がある
- 特定サーバへの負荷集中が起こりやすい
高負荷システムでは、セッション維持と負荷分散のバランスが重要です。
セッション維持を使わない代替手法
近年では、Redisなどの外部ストアにセッション情報を保存し、どのサーバからでも参照できるステートレス設計が増えています。この方式では、セッション維持機能を使わずに高いスケーラビリティを実現できます。
情報処理技術者試験でのポイント
試験では、「同一利用者の通信を同一サーバに転送」「Cookieを用いた振り分け」といった表現がセッション維持機能を示します。負荷分散とのトレードオフを理解しておくと、選択肢問題に対応しやすくなります。
まとめ
ロードバランサのセッション維持機能は、ユーザー体験の安定性を確保するための重要な仕組みです。一方で、負荷分散効率への影響もあるため、システム特性に応じた適切な設計が求められます。可用性と拡張性を両立させるための基本知識として、押さえておきたい機能といえるでしょう。
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